毎晩、キレる
疲れる。毎晩、キレてる。クレジットカードのことで。
私とポン、もう、あのカードの事件については疲労しまくっていて、できれば、忘れたいくらいなのだけど、タコ氏は、絶対忘れさせてくれない。
後片付けがはじまると、今日もまたまた、
「問題は、どこをゴールに置くかだな」とかといい、
「カード会社相手に、勝つところにゴールを置くか。それとも、文句を言うところに、ゴールを置くか」と、挑戦的につぶやいた。
でも、何だろう。文句を言うところにゴールを置くって!? 何の話なんだろう!!
「名義人を変える! ポンから、私に、名義人を変えましょう。そしたら、私は、好きなだけ、カード会社とやりとりできる」とのことだけど!
「イヤです」
ポンは、タコ氏と、カード会社を電話させたくないらしい。タコ氏が、カード会社に向かって、キレて、キレて、キレまくって、おっそろしいことになるのがイヤなんだそうだ。
「もう、いいじゃん。好きなだけ、怒らせようよ。どうなっても、仕方ないよ。カード会社に、自分が文句言えるまで、永遠にこっちに文句言い続けるんじゃない?」
私は疲れ切って、そんな、無責任なことを言っている。
とにかく、イヤなのだ。今日もタコ氏の怒鳴り声を聞くと、もう自然に身体が、リビングから出てしまい、洗面所から、真っ暗な廊下へ。真っ暗な廊下から、階段へ。階段から、2階のトイレへ。2階のトイレから、自分の部屋へ逃げ込んでしまう。
私が、電気をつける気力もわかず、真っ暗な部屋の中にへたりこんでいたら、ポンが、2階にやってきて、
「何、あんた。ギョッとしたわ。ユウレイみたい」と、かすれ声でささやいた。
あの人、やっぱり、どっかで毎晩、一杯ひっかけてから、帰ってきてるのかなあ。
それで、あんなにキレるのかなあ。
もう、イヤだ。疲れる。