アルコール依存症!?
ポンは、とうとう決意した。明日、病院の先生に、相談に行こう!
で、車を飛ばして、病院に行ってきた。すっごい混んでたらしく、2時間待ち。
「世の中、病んでる人、たくさんいるのねえ」って、ポンは、しみじみ言った。
先生、何ていうのかな。洗濯物を入れてみたり、売れないお話を書いてみたり、お隣の家の5歳児の双子が楽しげに焼肉パーティーをしているのを横目で見ながら、庭に水撒いてみたり。ソワソワ待った。
そ・し・た・ら!
「タイヘン!」と、ポンから、LINE。
「タコ氏、アルコール依存症になりかかってるって!!!」
エ!? アルコール依存症!?
アル中ってやつじゃないですか。アル中になって何が悪いって言っていたアレ。
アル中になるような量じゃないからって、本人、豪語していたのに。
なのに、何ですか。それ、なりかかってるんですか。750㎖を2本ずつで? マジですか!
「750㎖を2本は多すぎます。それは、私と約束した量よりも遥かに超えています」
先生は、しぶい顔で、そう言ったそうだ。
それにしても、アルコール依存症って、昼間から浴びるように、お酒を飲んで、飲んで、飲みまくる人がなるものだと思っていた。750㎖を2本だけでなるもんだとは思っていなかった。
「残念ながら、彼は、アルコール依存症にとてもなりやすい体質なんです」
先生は、苦い顔をして言ったそうだ。
ビールを飲んではキレていたのは、アルコール依存症になりかかってるせいなんだって。
「とにかく、あなたがすべきことは、彼がお酒を飲んだら、席を外すことです」
先生は、ポンに、そう言ったらしい。
「お酒を飲むときには、一切、彼と口をきかない。シラフの時は、普通にふるまう。それを徹底しなさい」
何それ。タコ氏が、食事中にビールを飲みだしたら、黙ったまま、自分達の食事を持って、どっかに消えないといけないってことか。えええ! だけど、食事を持って、どこに行けっていうのー! 私の部屋の机の上は散らかり放題で、食事なんてできませんよ、エエ。
「だけど、とにかく、それを徹底しないと」と、ポンの目はつりあがっていた。
わたし、ためいきをついた。
まだ、本人に、アルコール依存症になりかかっているんだってよって言っちゃいけないらしい。そこで、私達は、先生に言われた通りのことを、タコ氏に告げた。
「パパ、お酒を飲むと、人が変わったみたいにキレるでしょ。それがイヤだから、先生に相談にいきました。そしたら、パパがお酒を飲みだしたら、席を外しなさいって言われたの。それから、パパがお酒を飲んだ時には、もう一切、口をきくのはやめなさいって。だから、これからは、そうするね」と。
そしたら、タコ氏は、無表情で、
「で?」といった。
「それだけ」と言ったら、
「フン」といって、ものすごく怒ったように黙り込んだ。感じが悪い!
何だか、ユウウツになってしまった。テレビでは、プレバトをやっていて、夏井先生が、さかんに、俳句の査定をしていた。