愉快な精神病家族

双極性障害&アルコール依存症になりかけ!?のオジサン&パニック障害の奥様&経済力無しのアラサー&怖がり犬のドタバタ生活

ビールでキレまくり

あれから、タコ氏は規定をよく守っている。750㎖のビール缶をキッチリ2本。(それより少なくは絶対にしない)夕飯の時に、チンチンと飲んでいる。
そして、後片付けの時に決まったようにキレる。キッカケはお金のことやら、テレビの文句やら、健康診断の案内の紙やら、その時々、違う。キッカケは違うのだけど、キレるタイミングは必ず、後片付け。もう、それ、決まってる。法則みたいに。
 大声で怒鳴られるのって、全然、楽しくない。イヤだ。ひどいこと言われると、こっちも言い返したくなる。言い返すと、ますますひどいことを言われる。私は一度泣かされた。ポンは、二度、三度、攻撃された。げんなり。ガックリ。またキレるんじゃないかと思ったら、ホント、イヤだ。キレるの、やめてほしい。
 東京に出張して、2晩いなかった夜は、ものすごく平和で、ポンと私とイヌのCちゃんと、みんなそろって、ホーッとした。
 
 ところが、東京から帰ってきた夜。
 またキレた。激しくキレた。ビール飲んで、キレた。今回はもう、後片付けまで待たずに、キレた。
 夕飯の時、タコ氏が、激しくせきこんだのだ。タコ氏が、口に入れていたものと、ビールが全部、食卓と、ポンに激しく吹きかかった。
「もう、やめてよー!!!」と、ポンは、さけんだ。
「ごめんなさい」と、一度は、タコ氏、大人しくあやまった。
「もうー!!!」と、ポンが、あちこちふくと、
「ごめんなさい」と、もう一度、タコ氏はあやまった。
「汚いんだから~!」
 そう言ってから、ポンは、イヌが忙しくテレビの画面をなめているのに目をとめた。そして、
「あらっ! あんなところにまで、飛んでるわ!」と、テレビの所に走っていき、テレビを、ティッシュでふいたのだ。
 すると突然、
「こんなにあやまってんのに、何で、そこまで文句いうんだ!!」
 タコ氏、おはしを投げつけて、激しくキレて、怒鳴ったのだ。
「ごめんなさいって二度もあやまりました。なのに、どうして、そこまで文句、言われなきゃいけないんですか!」
「だって、言うでしょ。これくらい! 二度なんかじゃ、足りないわよ! 五度くらい、言ってもらわないと!」
「ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい」
 タコ氏は、怒り狂いながら、指を折って怒鳴りつけ、
「これでどうだ! 何なんだよ。セキなんて、自然現象だろうが。じゃあ、何。もう、セキをするなってか。永遠にあやまれってのか!!」と、もう、怒鳴りは止まらない。
「あなたはねえ、私を嫌悪してるんだよ! だから、そんなに言うんだよ。やっぱり、おしまいにしよう!」
 出た。例のワード。おしまいにしようワード。
「共同生活、やめよう!」
「今は決めないって言ってんでしょ!」
「そうやって、すぐ逃げる。チッ」
 おしまいにしたくてたまらないらしいような感じ。
「財産は、きっちり半分にしてあげるから。あとは、自分で頑張ってねっていう話」
 例の財産分与の話も、また、出ました。どうなってんの。食卓のせきで、何で、そこまで、話が拡大してんのっていう。
「今まで、こんなことでキレたことなかったじゃん」と指摘してやったら、
「はあ~?」ってキレられた。もう、イヤ。

 ポンは、げっそり落ち込んだ。私達、暗-くなった。
「もう、あんなにおしまいにしたがってるんだから、おしまいにしたら? 共同生活」
って、私が言ったら、
「だけど、お金どーすんのよ。お金ないじゃん。私達」って、ポンは頬がこけている。
「それは……」
 バイト経験しかないアラサーと、バイト経験もほとんどない50代のオバサマを正式に雇ってくれる会社なんてあるだろうか。今、雇用がないこの時代に。
「それに、Cちゃんの散歩もあるよね。一日中、仕事するようになったら、Cちゃんの散歩、二人でできない」
 (Cちゃんってのは、イヌです)
 我が家の中心は、イヌ。何より、優先すべきは、Cちゃんの散歩。
「Cちゃんは車がコワイから、田舎のほうがすきなんだよ。それ考えたら、田舎に引っ越して、畑耕して、自給自足生活がいいかもしれない」と、私。
「野菜だけー! タンパク質はどうすんのよ。タンパク質とらないと、やせて倒れる」
 ポン、身長152㎝にして、わずか33キロっていう超痩せ型。これ以上やせたら、確かに死にそう。
「畑が安定して、豊作になったら、それを売って、肉買うんだよ」
 私は、そう言ってみた。狩りをして、ワナをしかけて肉をとるんだよ、とはやっぱり言えなかった。
「私達、畑の経験なんて、全然ないのにー! ずっとやってきたことっていやあ、お話を書くことだけなのにー!!!」
 ポンは、なげいた。私も、暗ーくなった。どうなるの、私達。