愉快な精神病家族

双極性障害&アルコール依存症になりかけ!?のオジサン&パニック障害の奥様&経済力無しのアラサー&怖がり犬のドタバタ生活

突然キレる

 

 タコ氏は、やはり、隠れ飲みしているんじゃないだろうか。それとも、アルコールが入っていなくてもキレるんだろうか。この頃はもう、うちでは飲まないけれども、それでも、なんだかキレるのだ。
 この間、突然キレたのは、自分の部屋にある本棚について。タコ氏はただいま、和室を使用している。ずいぶん昔には、ポンと共同の寝室を使っていたことだってあったのだけれど、今から約15年ほど前、タコ氏が東京に単身赴任をした時、ポンは一人で眠った方が快適に眠れることに気がついてしまった。以来、タコ氏は、和室を寝室として使用しているのである。
 ところが、この和室に本棚がある。タコ氏が、和室を寝室に使いはじめた時には、すでに、和室に設置してあった本棚である。この本棚には、私とポンの本がつめこんである。昔からずっとそこにあって、タコ氏が和室を寝室として、使用しだしてからもずっとあり、タコ氏は、その本棚と私達の本がそこにあっても、特に文句なく暮らしていたのだ。 
 それが突然、
「あのさ! 私が、あなた達の個人スペースに物を置いたことが一度だってある!?」
 突然、声を荒げて、キレたのだ。
「エ!?」
 私達、驚いて、いっせいにポカンとした。
「あの本棚! あの本! 一切合切、撤去して!」
 私達、なんとも言いようがなかった。うちには、本はあふれすぎるほどあふれていて、リビングのあちこちに平積みにされているのだけど、もしも、和室のたくさんの本を、和室からどけようと思ったら、リビングに、さらに平積みにするより仕方がない。でも、そんなことをしたら、犬のCちゃんの居場所がなくなる。ダメだ。我が家では、Cちゃんは絶対なのである。Cちゃんに迷惑がかかるようなことはあってはならぬ。今、和室にあるたくさんの本をどけようと思ったら、家じゅうのゴミを片付けて、場所を設けなければならない。でも……

「………」
 家中を片付ける気力も体力もない私とポンは、沈黙して、ただ、ただ、タコ氏の顔を見つめた。
「今すぐにはできません」
 とりあえずは、そういって逃げたけれども、いつまでも逃げ続けるわけにもいかないだろう。ああ、どうしよう。家の片付けなんてしたくない。本の問題を考えたくない。お金が欲しい。そしたら、ウンと素敵なアンティークの本棚を買い込んで、そこに素敵な様子で、本を何もかも並べるのに!
 しかし、残念ながら、うちにはお金がない。私に稼ぎがなく、ポンに稼ぎがなく、そして、タコ氏は定年が迫っていて、わが家はじきに貧乏になる予定なのである。ああ!