どうでもいいことなのに
ポンがさっき、タコ氏に相談を持ちかけた。タコ氏の会社から支給される健康診断のことについて。
すると、タコ氏は書類を持ち出し、それを広げてめくり、大きな声で読み始めた。すすると、驚くじゃありませんか。ポンときたら、タコ氏がまだそれを声に出して読んでいる途中だっていうのに、立ち上がって、湯たんぽをつぎはじめたのだ。
(毎日、こんなに熱帯夜だっていうのに、湯たんぽを足にあてているその温度感覚にも、驚くが。しかし、ポンは更年期障害で、頭は熱くなるのに、足は氷のように冷たくて、湯たんぽがないと寝られないんだという)
で、とにかく、ポンはタコ氏が朗読中にもかかわらず、湯たんぽを持って、2階にあがりだした。
「おい! ちょっと聞いてんの!」って、タコ氏が、朗読をやめてどなる。
「うん。でも、まって! 今、湯たんぽ持ってあがるから」と、ポンが言ったら、
「知るかよ!」
タコ氏は、書類を机にハデにたたきつけて、それきり、口を利かなくなった。
ポンはすぐに降りてきて、
「ごめん。もう一回言って」って言ったのだけど、
「もう知らない。説明聞かなかったの、そっちじゃん!」
タコ氏は怒鳴って、和室に飛び込むと、バーン! ハデな音を立てて扉を閉めた。
ここ数日、タコ氏はキレてなかったのに。最近大人しいなあって思ってたのに。なのに、やっぱり、キレました。
まあ、ポンも湯たんぽ持って上がるのは、タコ氏の話が終わってからにしたらよかったのにね。だけど、タコ氏もさ。こんなことで、そこまでキレなくてもいいのにね。
何で、わが家は、こんなどうでもいいことで、すぐに争いみたいになるのかね。それとも、どうでもいいことではないのかね。よくわからんが、もう、とにかく争いばっかりイヤになりますな。ヤレヤレ。