元気がないまめこばあばとよく食べるジジイ
この頃、まめこばあばは元気がない。タヌキジジイの介護に疲れているのかもしれない。とにかく、どんどん痩せている。糖尿病のタヌキジジイのためのカロリー制限食を、タヌキジジイよりもはるかに少なくしか食べていないということだから、やせるのは当たり前かもしれない。
「ダメよ! お母さん、食べなきゃ!」と、ポンが言ったら、
「でもねえ、食べられないのよ」と、マメコばあばは言った。
「まあ、大丈夫なんだけどね」
マメコばあばは、いつもこう言う。人のことは心配して、ジジイのことは、やたらに病院に連れていって、ジジイの診察に付き添ったりしているというのに、自分のことは、大丈夫、大丈夫といつも言う。マメコばあばが、大丈夫と言わなくなる時。それは、大抵、救急車で運ばないと命にかかわるような、重大な病気にかかった時なのだ。
しかし、救急車で運ばれる時でさえ、救急隊員の人に、
「悪い~。運んでもらうなんて、悪い。本当に悪すぎる」と、うわごとのように、つぶやいていたというくらいの人だから、マメコばあばの「大丈夫」は、あまり、アテにはならないのである。
しかし、マメコばあばは、大変ガンコで、どんなに病院で検査をするように言っても、絶対ガンとして、自分の診察はしないタチなので、もう、どうしようもない。
「せめて、ばあばを、食事に呼ばなくちゃ」と、ポンが言ったら、
「それなら、ぎょうざにしますか」と、タコ氏が言った。
タコ氏は、いろんな料理ができるけれど、ぎょうざが一番のお得意料理で、ジジババの絶賛を浴びている料理なのである。
タコ氏はこんな風に、ジジババのために、ぎょうざを焼きましょうというような、人のイイところもあるのである。
まあ、そんなわけで、昨日は、ぎょうざパーティー。まめこばあばは、
「まあ、タコ氏さんのぎょうざ、うれしい! おいしい!」とさけびながらも、
ちょっとしか食べれなかった。
タヌキジジイは、糖尿病の治療中で、カロリー制限をするように、医者に厳しく言われているはずなのに、誰よりもたくさんぎょうざを食べた。
「あのねえ、こんなの全然食べすぎじゃありませんよ! これだけ食べても、まだ足りないくらいだ! 空腹で倒れるかもしれん!」
と、タヌキジジイは怒鳴りながら、口いっぱい、ぎょうざをほおばっていた。
ヤレヤレ。